だがしかし、僕にはケンの映画に見えたし、その見方も間違いではないのだろう。
ケンに居場所はない。ビーチしかない。
ケンisバービー&ケン。
幻の方が居心地が良いぞ!と暴れる映画はいくらでも観てきたが、現実の方が居心地が良いぞ!と思うケンを見て、激しく、頭が痛くなり、また爆笑したのである。
何層構造なのかと、クラクラする。
それに加えてテンポ、スピードがエグい。
とても一度では追いきれない。
あっ、ちょっと待って、見た?いまのスピルバーグのオマージュなんだよね。
おっと横道に逸れた。
「人に時間を聞かれた!!すごい!!男って、すごい!!」
ケンの言葉に今まで感じたことのない、うずうずとする心の奥。
「僕はなんでもできる!なんにでもなれる!なぜなら男だから!!」
そう言って面接を落ちまくるケン。
ケンのような人間には出会ったことがない。
お前の車がお前の価値を決めるわけではない。
お前の馬がお前の価値を決めるわけではない。
お前の服がお前の価値を決めるわけではない。
お前の金がお前の価値を決めるわけではない。
お前はお前だ!ケンisケン!!!
最終的には『ファイトクラブ』にて幕を下ろすケンの物語。
おっと、『ファイトクラブ』って映画知ってる??
フィンチャーって知ってる?
キューブリックって知ってる?
ゴッドファーザーって
マンスプとはなんと恐ろしい言葉か。
そうならないように気をつけたい。とか、言っても無意識の加害にどう折り合いを付けて生きていけば良いのか。
我々は女性の社会進出を大いに歓迎する。なぜなら我々はみな女性が大好きだ。我々の母親は女性だ。
すごいものを見た。
隣で見ていた彼女はときおりカバンからハンカチを出して目を拭いていた。
映画が終わってから「寝ちゃいそうだった」と聞いたときは膝から崩れ落ちるかと思った。
あくびして涙が出ていたのだ。
そういうものだ。
僕の彼女は僕の何倍も映画に詳しい。