ワコーのカド blog

ブログブクロ

野望。

野望なんてねきみ、それは野暮ってもんだよ。

それでも僕は名を上げて

東京ではその名を知らぬものはいない。

関西でも、東北でも、日本で映画を志すものにその名を知らない者はいない。

海外でも俺のことを知らぬ映画人はいない。

やがて友を喜ばせ

両親の誇りとなり

兄弟の喜びとなり

恋人の隣にいて恥ずかしくない人間であり続け

人々に羨望の眼差しを向けられ

誰かに夢見られる人となり

死ねば立派な戒名を与えられ

墓には花が絶えることなく

あの人のようであれ

と子らに親共は説き

立派な人であったと友は酒を飲む。

一夜ではなく、ずうっとずうっと

ずっと…

そんなことを夢見る人間が

社会だなんだと抜かし

会社がダメだと愚痴をこぼし

社員がダメだと愚痴をこぼし

唾を道に吐き捨て

自分の下のものに優しくするでもなく

薬と酒でようやく眠りにつく程度の

小さな狭い心持ちの青年が

なにを言っているのか

なにをガタガタと書き連ねているのか!

みっともないだろう

恥を知れ!

クソッタレめ。

ああ、平々凡々な夜だ。

昨日と同じ夜だ。

明ければ同じ朝がくる。

支度をするのもおっくうな

酒にまみれた肝臓を

取り出して洗ってみるがいい

真っ黒な肺を取り出してみるがいい

ポリープまみれの小さな胃を

逃げて来た地元の土を

拾って食べてみれば良い

あそこに俺はいなかった

東京にはいるのかね

少なくとも、飛び出したあの日の自分は

自分が自分らしくあろうと行動していた。

もう続きを書く力はない

死のう。