西口には俺の拳よりデカいネズミがうじゃうじゃいる。
そこで酒を飲む。
帰り道。
こないだいけないことだとわかっていながら、タバコをネズミに向かって投げてみた。
そしたらそいつ、タバコが当たっても堂々としていた。
あっ、、
って思ったんだよね。
母親にね、こないだ聞いたんですよ。
「父親と結婚して後悔はないのか?」
って。
そしたらね「わたしみたいな人間がさ…」
って語り出したの。
僕はね、母親は自分のこと、なんだろ、先生だったのもあるけど、優れた人間だと思ってる人だと思ってたの。
だから父親の様子を見ていて、「私の人生間違った」みたいに思ってたら、さ、子供としてしんどいじゃない?
そしたら、「わたしは大した人間じゃない」ってしきりに言うの。
あっ、、!!
って思った。
「この人、俺の親だ!!!!」
って。
だから好きなの。
今の彼女が。
しかしね、父親はやっぱり変な人で。
「この人なんなんだろ?」ってずっと思ってる。
最近はボケてきたから、聞いても答えてくれないだろうな。
そんなことばっかり考えるよ。
こないだ帰って、東京に戻る時に「またきてくださいね」って父親が言ったの。
実家だよバカ、なんで他所ごとなんだよ。
って思ったけど、ちょっと切なかったな。
切ないけど、それが年を取ることか。
って受け入れたりもしたしね。
父親が歩んだ人生を俺も歩むだけの人生。
それでなんにも間違ってないんじゃないかって思えた。
30だからね。
出来れば孫を見せてやりたかったけど、「孫なんて疲れるからいらない」って母親が言ったの。
「そんなこと言う人の親がいるんだ!?」って思った。
それでいいんじゃない?
俺の話でした。