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映画館は実在する

そんなわけで、僕が映画を劇場公開することの意味というのを考えたとき、「映画にとって映画館は必要な装置の一部であり、つまり存在しなければならない」と結論つける。

映画館という言葉には“館”が付いている。

館から連想するもの、それは間違いなくホラーであり、暗闇、密室、音響から生まれる効果を最も効果的に作用させられるジャンルはホラーだ。

間違いない。

映画館とは、恐怖のために存在しなければならない。

幽霊、霊魂、呼び方はなんでもよいが、この世に在らざるものを精神的に“空間的に”呼び起こす場所として映画館は必要だ。

地獄を実在させるためには、映画館は必要な装置だ。

だから、若手はもっと質の良いホラーを量産させてほしい。

それが映画館の存在価値に繋がるのだから。

しかし、僕は睡眠障害にかかってから、あまり怖がらなくなったかもしれない。日常でゾクゾクしなくなったかもしれない。

それは眠ることが行為になってしまったからだと思う。

夜というものが、昼じゃないだけになってしまった。

夜の異化作用が、僕の体に効かなくなってしまった。

わかりやすく言うと夜と仲良くなってしまったのだ。

昼と並行して夜が存在していると、体感的に理解してしまった。

夜真っ暗な中で目を閉じると、何か起こるんじゃないか、という恐怖は夢がコントロール出来ないことからきている。というかそういう側面はあるだろう。

しかし夢は睡眠に付随するもので、そこに辿り着くまでに困難を要する僕は、夢の持つ恐ろしさから少し霊的に離れてしまった。

恐怖を描くには段階を踏む必要があるが、そのプロセスが夢を見るプロセスと近いのではないか。

そう考えると合点がいくのだった。

続く