愛しているから壊していいわけではない。
僕は今の職場を愛しすぎた。
だから、荒廃していく様を見ていられなかった。
あのときの輝きを、ときめくような瞬間を、呼び戻せるのは自分しかいなかった。
プレイバックは決死の一手だった。
自分を追い込んで追い込んで、いまふと、思ってみれば、あそこまで追い込む必要はなかった。
なかったのだけど、不器用すぎて、おもちゃのように扱ってしまった。
自分なら取り戻せると思った。自分しかいないと。
自分が壊れるか、ロサが壊れるか、どっちでもよかった。
どっちも壊れるべきだとすら思った。
そしたら自分が壊れた。自分で作ったら十字架に自ら磔にされ、どうだ!!と言わんばかりに。
なんとみっともないことか。
それ言わんこっちゃない。
それ言わんこっちゃない!!!
そして、取り戻した。
舞台にも上がった。
舞台挨拶が、映画を壊すこともある。
僕は良く知っている。
良く知っているからこそ、命懸けで舞台に上がらなくてはならなかった。
僕が最も愛した映画だったから。
僕が壊すわけにはいかなかった。
わかる人にはわかってもらえたのが救いだ。
「でしょ?」「だよね!」
「でしょ?」「だよね!!」
壊れたがっていたと思うし、もう二度と自分を犠牲にはしない。
なぜなら、働かないと食べていけないと本当の意味で理解してしまったからだ。
大人になったねえ。